【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第8章 【R指定】花街に毒の花が咲く④
壬氏の言葉を聞いて、夏潤はニヤッと笑った。
「月娘はまだ皇室から正式に招かれてませんし、皇太弟殿下との婚約は破棄されたままです。」
その言葉に、既に壬氏と身体を結んでいる。
そう叫びそうになったが、壬氏は月娘の表情を見て辞めた。
月娘は何も喋らないでくれと。
そう壬氏に訴えた目をしていた。
「残り少ない兄妹の触れ合い位見逃して下さい。」
そう爽やかな笑顔で夏潤は月娘を連れて馬車に入った。
「………………。」
月娘達が乗った馬車が花街から離れていくのを、壬氏達は黙って見送っていた。
呆然としている壬氏を、高順と猫猫が馬車に押し入れて、自分達も後宮に向かう。
「……あの2人は兄妹なのか?」
呆然としたまま壬氏はボソッと呟いた。
「……夏潤殿は月娘様の母方の姉妹の息子だと聞いています。2人が兄弟かもしれない噂は確かにあって、それは月娘様と夏潤殿が似すぎている為、夏潤殿が枋太師の婚外子ではないかと噂されているんです。」
あの固くて生真面目な枋太師が、嫁の姉妹に手を出すのか。
壬氏は腑に落ちなかった。