【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第8章 【R指定】花街に毒の花が咲く④
「…はぁ……内官か……。」
夏潤はそう言うと、刀剣を鞘に収めた。
それを見て月娘の口から小さな安堵のため息が漏れた。
「どうやら、月娘の愚行を止めたのは皇室だったのか。」
チラッと月娘を見ながら夏潤は言ったが、月娘は顔を俯かせて夏潤を見る事はしなかった。
「良かったよ我慢して。もし枋家の名前が無かったら、あの場で全員殺してただろうから。」
それは壬氏も同感だった。
だが、この男に内官扱いされるのはどうにも腹が立った。
好きで自分から内官を志願したのに。
(ナニが無いと叫ばれる位なら、やり合った方がマシだった。)
今だに夏潤は月娘の身体を離さない。
「大事にならなくてよかった。月娘の方は枋家で引き取りますので。」
夏潤はそう言うと、月娘の身体を抱き上げた。
「あまり触れるな!!」
月娘を連れて馬車に乗ろうとする夏潤に向かって壬氏は言った。
壬氏の声に、夏潤は少しだけ振り向いた。
「月娘様の身体は皇太弟殿下のモノだ。身内とて気軽に触れるな。」