【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第8章 【R指定】花街に毒の花が咲く④
顔を隠しているが、身なりはワザと落としているのだろう。
侍女と従者を従わせている事から、身分は低くは無さそうだ。
夏潤はハッと笑って、腰にあった刀剣を抜いて壬氏に向けた。
「夏兄様!!」
月娘は慌てて夏潤を止めようとしたが、夏潤は片手で簡単に月娘を押さえつけた。
壬氏に刀剣が届く前に、高順が2人の間に入った。
「誰に手を出したか分かっているのか?」
知らなくても首が飛ぶのは仕方ない。
今にも切り掛かりそうな夏潤の前に出てきたのは。
猫猫だった。
「ちょっと待って下さい!!」
「薬屋…。」
刃先に向かって怒鳴った猫猫の体を壬氏が掴んで抑えた。
「この方と月娘様は何もありません!!!」
堂々と自分の前に立つ猫猫に、少しだけ夏潤の刃先が下を向いた。
「この方にはナニがありませんから!!!!」
猫猫の叫び声に、一瞬その場が凍りついた。
「……………。」
夏潤と月娘は猫猫を凝視し。
壬氏は一瞬固まったが、自分が何を言われたか理解すると、静かに怒りを溜めた。
そして自分の腕の中にいた猫猫を払うように捨てた。