【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第8章 【R指定】花街に毒の花が咲く④
昨夜の月娘も美しかったが。
いつもの様に首元まである服を着て。
壬氏が贈った簪を刺している月娘の美しさにしは敵わないと思った。
「… 月娘、綺麗だよ。」
壬氏はすぐに月娘を抱きしめると、耳元で囁いた。
「…私…簪が欲しかった訳じゃ…。」
「分かってる。月娘。」
お前が望むならなんでも与えられる。
正妃の座も俺自身も。
後はこの簪の様に、月娘は壬氏が与えたモノに囲まれて過ごせばいいのだ。
「……壬氏様分かってますよね…。」
我慢のネジが外れている壬氏に、高順はネジを再びはめ込もうとする。
このまま2人を外に出したら、その関係を公言する様なモノだ。
「…大丈夫だから高順…。少し黙っててくれ。」
壬氏はそう言って、月娘をギュッと抱きしめて離さない。
やはりそこでも壬氏の気持ちが落ち着くまで、しばらくそうして壬氏は月娘を離さなかった。