【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第8章 【R指定】花街に毒の花が咲く④
月娘から引き離されて、壬氏は不満そうな顔をした。
「……僑香(きょうこう)を呼んで下さい……。」
その壬氏の顔に、何故か自分が悪い事をした様な気になって。
月娘は壬氏から目を逸らして言った。
深夜に壬氏の部屋を出た時とは比べ物にならない位に、月娘は乱れていた。
月娘は自分の姿に顔を赤ながらも、ここまで乱れては自分1人ではどうにも出来ないことは分かっていた。
こんなに愛らしいのに。
自分の手で、乱れた月娘も、壬氏からすれば可愛く何の支障も無い。
むしろその姿がより壬氏を『そそる』のだった。
月娘を無視して彼女にキスを繰り返すと、月娘の怒った声がした。
「瑞月様!もう放して下さい!」
先程よりも強い力で対抗する月娘に、流石の壬氏も折れたのだった。
「……はぁ……高順。」
壬氏は自分だけ着物を羽織ると、扉の前に行き高順の名前を呼んだ。
壬氏に呼ばれて、すぐに高順は現れたが。
その目は強く瞑られている。
その高順を見て、壬氏は満足そうな顔をする。
少しでも、寝所の中に居る月娘を見たのなら。
流石にもう許せないからだ。