【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第8章 【R指定】花街に毒の花が咲く④
昨夜はいつから寝たのだっけ。
寝た記憶が無いのに、気が付いたら朝になっていた。
「…………………。」
思えば、壬氏とこうして朝を迎えたのは初めてだった。
最初の夜も、この前の夜も誰にも見られない様に、逃げる様に皇室を後にした。
気持ちを通じ合えた今はそんな事を気にしないでいい事に、月娘は眉を下げて寝ている壬氏を見下ろした。
「…瑞月様……。起きて下さい。」
月娘はゆっくり身体を倒すと壬氏の耳元で囁いた。
「!」
急に壬氏の腕が伸びて、月娘はまた壬氏の腕の中に収まった。
「…瑞っ。」
慌てて壬氏の胸元を押すけど、ビクともしなかった。
「月娘、おはよう。」
壬氏はニッコリ笑うと、月娘の頬にキスをする。
ちゅっちゅっと何度もキスをする壬氏もまた。
こうして一緒に朝を迎えられて、嬉しい気持ちが溢れて居る様だった。
「っ瑞月様っ、お願いがありますっ!」
一向にキスを辞めない壬氏を、月娘は力一杯押し返した。