【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第7章 【R指定】花街に毒の花が咲く③
「違う月娘…、俺はそんなつもりじゃなくて……。」
ただ月娘を自分のモノだと自覚したかった。
他の男に普段見せない表情を見せていた月娘を、懲らしめたかっただけだ。
月娘を抱き締めて彼女の涙を拭った。
しばらくして月娘が少し泣き止むと、月娘はまた話し出した。
「……教本じゃ、こんな気持ちは教えてくれなかった…。」
「え?」
自分で涙を拭って、月娘は壬氏を見つめた。
「瑞の全てを受け入れた時に、こんなに幸せな気持ちになれるなんて、あの頃は思いもしなかった。」
そう幸せそうに微笑む月娘に。
壬氏は更に罪悪感に潰されそうになった。
「こんなにも幸せな気持ちになれる事だったのね。」
「……月娘……ごめん…。頼むからあんなので幸せなんて感じないでくれ……。」
「?」
ギュッと顔を埋めて抱き締めてくる壬氏に、月娘は不思議な顔をした。
壬氏は喜んでくれると思ったのに、何やら1人で懺悔しているからだ。
「…………やり直しする…。」
「え?」
俺の本気はこんなモノじゃ無い。