【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第7章 【R指定】花街に毒の花が咲く③
このまま月娘の身体に貪りつきたくなるのを何とか耐えた。
まだ聞きたい事を全部聞けていない。
「…俺が本当にお前の首を刎ねようとしたらどうするつもりだった?」
「…瑞と婚姻出来ないなら、そんな人生に未練なんてありません…。」
グッと耐えている壬氏に抱き付いて、早く自分に覆い被されと催促される。
「…なら、皇室に入らない様にお前を処分したらどうしてたんだ?」
その言葉に、縋り付いている月娘の力が弱まった。
一瞬月娘の目から光が無くなったのを、壬氏は見逃さなかった。
首を刎ねられるより、月娘にとってはそっちの方が地獄だったからだ。
「……枋(ほう)家を出て行って……誰も知らない場所に逃げていたと思います…。」
「…逃げる?誰から?」
「…………………。」
先程まで壬氏を見ていた瞳は、力無く目を伏せている。
「貴方が居なくなった世界の全てから……。」
壬氏が今回気持ちを固めてくれなかったら死んでも良かった。
もし赦されて待ち受けて、生きたまま待ち受けている未来の方が耐えられない。