【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第7章 【R指定】花街に毒の花が咲く③
「瑞月様…今度こそ約束して下さい…。」
再び壬氏に巻き付いている月娘の腕に力が入った。
「近い内に必ず皇室に私を迎えて下さい…。」
もうこれ以上あの男の顔を見なくても済む様に。
あの男から逃げなくても済む様に。
あの男が入らない唯一の2人の世界で、壬氏と過ごしたい。
「…俺が気持ちを固めなければ、俺ごと捨てる気だったんだな…。」
恐ろしい事を考えていたんだな。
きっと今度こそ婚姻の約束を伸ばしたのなら、月娘は本当に自分の元から離れると分かった。
「月娘。」
壬氏は月娘の名前を呼ぶと、やっと月娘を抱き締めてキスをした。
月娘が逃げない様に、それは強く抱き締めて。
腕の中に居る月娘は、逃げる素振りなんで見せずに、そんな壬氏にしがみ付いて舌を絡めてくる。
「はっ…ぁ…瑞……。」
やっといつも抱き締めてキスをすれば聞こえてくる甘い声になった。
「…はぁ月娘……本当に俺から離れられたか?」
自分は月娘と離れる事なんて考えられないのに。
簡単に自分を捨てようとしたと認めた月娘に腹がたった。
「2度とそんな事考えられない様にしてやるよ。」