【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第6章 【R指定】花街に毒の華が咲く②
その度に湧き上がる怒りで、その男を殺してしまうかと思っていたが。
実際に見た光景は、月娘の方から高順に擦り寄っている光景だった。
それは想像以上の怒りだった。
「………………。」
チラッと壬氏を見て、月娘は彼の心情が分かった。
怒りで言葉を失い、何も言えないでこの様子を凝視している。
ゆっくりと高順から顔を上げて、月娘が壬氏を見た。
その表情は壬氏に見られて慌てる素振りを見せないで、真っ直ぐに壬氏を見ていた。
「……高順から離れろ月娘。」
壬氏から聞いた事のない様な低い声が聞こえた。
それが命令だと分かったから、月娘はすぐに高順から離れて床に膝をついて頭を伏せた。
「………………。」
壬氏はその後何も言わないで、寝所に寝かされて居る高順の側まで来た。