【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第6章 【R指定】花街に毒の華が咲く②
そう言って高順の胸元に唇を付けた。
「壬氏様……壬氏様!!!!」
「っ……!」
高順は今の状況を顧みずに、壬氏の名前を叫んだ。
ああ…もう……。
先程の大きい音と壬氏の名前を叫んだ事で、この茶番が終わるのが分かった。
すぐに壬氏はこの部屋の中に入ってくるだろう。
結局は自分の思い通りになんて何もならなかった。
月娘は虚しい気持ちで、そのまま高順の身体に倒れ込んだ。
「瑞月様はどうして私の気持ちを分かってくださらないのかしら…。」
スリッと胸元に月娘の顔が擦れると。
高順は自分が拘束されていて良かったと思った。
小さく震えているその肩を抱き締めないで済んだからだ。
でも、そう思ってしまった時点でもう。
不敬だと分かっている。
「月娘!!」
バタンッと大きな音を立てて壬氏が扉を開けた。
その声を聞きながら、月娘はゆっくりと目を開けた。
壬氏は自分が見た光景を疑った。
月娘が今回の事を計画したと分かって、月娘が男に組み敷かれている想像を何度もした。