【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第1章 後宮の外に毒の華が咲く
しかし、当の猫猫はそんな壬氏に靡くそぶりも無いから、余計にムキになって猫猫に纏わりついているのだろう。
そして壬氏はそんな猫猫が気に入っている。
利己的に近付いたのに、それ以上に彼女に関心を持っている。
それを全て知っている月娘は不思議だった。
そんな状態で、何故『私が』『猫猫に』何かすると思うのだろう。
もし月娘が制裁をする権限があるなら、間違いなくその対象は壬氏で猫猫では無い。
しかし、もう彼の事で月娘にある大義名分なんて一つも残っていない。
そんなモノはこの目の前の男が全て壊してしまったから。
「……私に媚薬も持ってきた侍女達はどうなった?」
「………………。」
これはまた見当違いな質問をぶつけられた。
「……あの猫猫が作ったて言う媚薬を食べさせて、花街に放り込んでやったわ。」
シレッと言った月娘に、壬氏は青い顔をする。
「そんなお前が薬屋に何かすると思うのは当たり前だろ。」