【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第1章 後宮の外に毒の華が咲く
「………そんな風に言っても、最近の後宮での薬屋の事が気になってきたんだろ。」
そのまま情けない姿を見せるかと思ったが、壬氏は何とか月娘の前で顔を立て直した。
「……………💢」
壬氏のこの無駄に良い顔が月娘を更に苛立たせる。
「……そうね…とても気になったから、さっき見て来たわ。」
目を細めて壬氏を睨む月娘に、壬氏はハッとした顔をした。
「猫猫には手を出すなよ!!」
慌てて月娘に詰め寄る壬氏を、冷たい目で見上げた。
「…何故私が彼女に何かすると?」
「……それは……。」
この口から出るのだろうか。
自分が猫猫を気に入っているから、月娘が猫猫に何かするのでは無いかと気にしていると。
認めるのだろうか。
しかし、月娘は知っていた。
壬氏はもっと利己的で、自分の利益になりそうな猫猫を気に入っているのだと。
きっと猫猫を自分がいい様に扱いたくて、彼女に構っているのだと。