【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第6章 【R指定】花街に毒の華が咲く②
(私を見ない様に言われたかしら…。)
ぎゅっと目を瞑って、決して月娘を見ようとしない高順を見て、月娘はそんな事を思った。
高順のそんな態度に、怒りを通り越して呆れてしまった。
……せっかく綺麗にしたのに…。
見ても貰えないのは少し悲しい。
月娘は興が削がれてしまった。
本気で壬氏とぶつかっても、こうして簡単に壬氏に無難に処理されてしまう。
(なら、瑞が居るのは猫猫の部屋かしらね。)
せっかく猫猫に大金を叩いたのに、結局壬氏には届かなかった様だ。
月娘はチラッと隣の部屋を見た。
そこが猫猫に与えた部屋だったからだ。
「……簪を見せてくれる?」
月娘は諦めた様に目を伏せて高順に言った。
高順はゆっくりと簪の入った箱を開けた。
「……綺麗ね…。」
金の土台にアメジストの華が咲いている。
彼の目の色。
即興で見繕ったのなら、よく準備出来たモノだ。
「…挿してくれないの?」
「私が挿しても嬉しいのですか?」
高順の言葉に月娘は彼の顔を見た。