【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第6章 【R指定】花街に毒の華が咲く②
「…月娘…ここまでやるか…。」
壬氏の拳がぎゅっと握られた。
(ああ…月娘様は少しも折れる気は無いのですね…。)
怒りに震えている壬氏を見て、もう丸く収まる算段が高順には浮かばなかった。
(…瑞はどうするかしらね…。)
月の名前を付けたのは、月娘から壬氏への最後の恋文だ。
それを破るも受け取るも壬氏が決まればいい。
(散々私から逃げてきた報いよ。)
ハッキリさせる時が来たのだと、月娘は壬氏に伝える。
今宵月娘がする事は。
壬氏の決定に従う事だけだった。
(まぁどうせ貴方のする事なんて…。)
私に綺麗な簪を贈る事位かしら。
月娘はそんな事を思うと、もう壬氏を探す事はしなかった。
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「……………。」
「……………。」
競が終わり、月娘の部屋に訪れたのは。
高順だった。
明らかに壬氏の命令だと言う様に、高順は決して月娘を見ようとしないで、手には高級そうな箱を持っている。