【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第6章 【R指定】花街に毒の華が咲く②
「……月娘様…私には小猫も見えるのですが…。」
高順の言葉で壬氏は再び綠青館を見上げた。
「………何やってるんだ…アイツは……。」
月娘の隣で猫猫がとてつもなく不機嫌な顔で立っている。
月娘とは違って、絶対に男達を見ない。
壬氏は月娘の意図がすぐに分かった。
「………本気か月娘……。」
私は本気よ瑞月…。
月娘がいくら下の男達を見渡しても、壬氏を見つける事は出来なかった。
どうせ、この男達に紛れる程度の変装で来ているのだろう。
それは月娘の望みとは真逆の行為だった。
どうせ貴方は猫猫を無視出来ないでしょう。
それがどんな気持ちかは知らないし聞きもしないが。
月娘の意図には気付いただろう。
貴方(壬氏)には用は無いのよ。
私は聞いたわよね?折れないのねって。
「今夜は最高級の簪を挿して下さいな。」
月娘がそう言ってニッコリ笑うと、月娘の言葉は綠青館の下男によって、競に参加する男達に伝えられる。
「月娘姫は今夜簪を贈る男性をご所望しております!!」