【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第6章 【R指定】花街に毒の華が咲く②
途端に壬氏に怒りが湧いた。
壬氏でさえ、寝室で月娘の寝間着を見た事が無い。
あんな化粧で妖艶に演じる月娘だって知らない。
寝間着より薄く肌を見せて、男を誘う様に笑う月娘など見たことが無い。
今すぐにここに居る男全員を殺そう。
壬氏はすぐに月娘を見つけたと言うのに、あの笑みは壬氏には向かない。
月娘が男の視線を集めれば嫉妬する事は分かっていた。
だけど、園遊会の様に当たり障りなく男を交わしている月娘では無くて、壬氏に向けるより甘い笑顔を男達に返している。
「…高順……。」
壬氏がやっと出た言葉は高順の名前だった。
「アレの何処が俺を待っている姿だ!!アレは絶対楽しむ気だぞ!!」
「え?あっ!あの妓女が月娘様ですか?!」
月娘に見惚れていた癖に、高順は月娘だと認識していなかった様だ。
「…お前、今すぐ目を潰れ。」
壬氏から本気の低い声を聞いて高順は慌てて目を逸らした。
周りの男達も、どう見ても一点に視線が集中している。
全員の目を潰すのに、どの程度の時間を要するか…。