【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第6章 【R指定】花街に毒の華が咲く②
途端に周りから歓声が上がった。
壬氏と高順は遠くから妓女が並んでいるを見上げている。
こんなに遠いと言うのに壬氏にはすぐに月娘を見つけた。
壬氏は妓女と並んでいる月娘を瞬間に周りの雑音が消えた。
1人簪を挿さずに少ない装飾品なのに、壬氏の目はたった1人の妓女に釘付けだった。
いや、本当に壬氏だけだろうか。
きっと周りの男も月娘を見て、同じ様に息をする事すら忘れているはずだ。
周りにいる男達の顔を1人1人確認ながら罰してやりたいのに。
壬氏は月娘から目が離せなかった。
よく化けたモノだった。
あれなら誰も月娘だと気付かないだろう。
月娘に視線が集中しているのは、彼女が月娘だからでは無くてただ美しいからだ。
(お前は本当に…どんな場所でも人の目を引くんだな…。)
それが後宮の妃達の中に居ても、綠青館の妓女と並んでいても。
園遊会では誰よりも簪を貰い。
今は誰よりも視線を集める。
壬氏が見た事の無い化粧をし服を着て。