【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第6章 【R指定】花街に毒の華が咲く②
「花街とは、こんなに賑やかなのか……。」
人混みの多さに、馬車を妓楼館のそばに行かせる事が出来なかった。
仕方なく壬氏と高順は花街の外から綠青館まで歩くことにした。
しかし、人混みは一斉に綠青館に向かっている。
嫌な予感しかしない。
「まさか全員月娘が目当てか?」
「…そんなはずないでしょう…。」
綠青館ほどの新人妓女なら、初見の前に太い客がすでに付いていると聞いている。
この場は余興のお祭りなのだ。
代々この競りで最高額を出す妓女は、その後綠青館の看板になる事が多い。
そんな余興の中に月娘が居るのだから、月娘を買おうとしているのは、太い客では無くて一般の人間だろう。
壬氏の財が負ける訳が無い。
なのに壬氏は不安そうにソワソワしているから、高順はため息を吐いた。
やっと壬氏が綠青館に着いた頃に、2階の広場に妓女達が並べられた。