【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第6章 【R指定】花街に毒の華が咲く②
本当に壬氏から離れたいのだろうか。
「月娘は…俺を待っているんだと思う…。」
でもやっぱり、後宮に来る月娘や、壬氏が触れた時の目は。
いつでも壬氏を追っている。
月娘もちゃんと壬氏を好いてくれている。
(……分かってるじゃないですか…。)
後は月娘をいつも通り静かに回収すればいい。
ゆっくり動く馬車に、壬氏は気が気じゃない。
早く月娘に会って、他の男が月娘を見る時間を一瞬でも少なくしたいのだ。
数いる男から注目を浴びる月娘を見て、怒りが抑えられるだろうか。
いや…難しい。
(…本当に…俺の宮に閉じ込めておきたい。)
皇帝の妃達の様に、皇室に閉じ込めて。
近くにいる男は宦官のみで。
皇室の中で壬氏だけを待っている生活をしていればいい。
(……もう…そうしようか…。)
月娘がもう待てないと言うならせめて。
婚約だけは約束しようか。
花街で月娘を見つけたら、それで全て収まると思っていた。
しかし月娘はやはり、壬氏の上をいく。