【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第5章 花街に毒の華が咲く
「始めますよ月娘様。」
「お願いしますよ。猫猫。」
ゴクリと猫猫と僑香の喉がなる。
猫猫は月娘の身体と顔に丁寧に白粉を塗っていく。
猫猫が作ったあのキラキラ光る白粉だ。
きめの細かい綺麗な肌が月娘の美しさを引き立てる。
月娘の肌を見ているだけで、周りの妓女からはうっとりしたため息が漏れた。
「あれ?猫猫。朱じゃなくて黒を入れるの?」
猫猫が取った筆に付いていた色は、朱では無く黒だったので、妓女は不思議そうに聞いた。
「細くですが…まぁ見てて下さい。」
スーッと瞼と目尻に黒い線が引かれる。
「あら。」
「まぁ…。」
「黒く目を形どっただけで、随分と印象が違うのね。」
「月娘様は目の印象が特に強いので、化粧で目の形を変える様に見せます。」
黒の上から朱を引き、目元に印象がいく様に色の付いた貝殻の化粧を目元に落とした。
「何それ素敵!」
キラキラ光る月娘の目元に、周りの妓女達から歓喜の声が出た。
「後、私はそばかすですが、月娘様には黒で目元に…。」
泣きぼくろを1つ月娘に付けた。