• テキストサイズ

【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】

第5章 花街に毒の華が咲く


「凄い!目元だけなら別人だわ!」

「仕上げは、口に差す朱は少し蜂蜜を加えたモノを…。」

猫猫が朱を入れると、月娘の唇がいつもよりふっくらして見える。



「凄いですお嬢様!いつものお嬢様のキツい印象が無いです!」

「…………。」

興奮して失礼な事を言っている僑香は許してあげよう。

確かにキツい目元は垂れ下がっていて優しい印象を与えている。



これなら、身近な人間でなければ、確かに月娘だとは気付かない。

「気に入ったわ。猫猫。」

何よりこの化粧は月娘の美貌を最大限に引き立ててくれている。



「私達も負けてられないわね!」

月娘を見て、今日お披露目される妓女達が猫猫から化粧を受け取った。



「こんな化粧も服も着るのは初めてで、今とても気分がいいわ。」

「月娘様、妓名は決めましたか?」

猫猫の言葉に月娘はニッコリ笑った。



「月娘(げっしょう)に決めたわ。」

妓名を名乗ると、本当に自分が違う人間に生まれ変わった様だ。

この姿と名前ならなんでも出来る様な気がした。
/ 408ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp