【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第5章 花街に毒の華が咲く
(…父様にはとっくに伝わったはずだけど…。)
防太師なら、すぐに月娘を迎えに来ると思っていたが、その花街は祭りの賑わいの他は何も騒動が無い。
なら、この話は壬氏に伝わったと考えて良いだろう。
(…きっと貴方はまた無難に処理をしようとするでしょうね…。)
この様な騒動を起こした月娘の心情を考えないで。
2人の対面だけ守り。
また腕の中で月娘を大切な女人として扱うのだろう。
月娘の気持ちには蓋をして。
(…そうはさせないわよ。瑞…。)
「…猫猫…、これいい匂いね。」
妓女達の手ほどきの後に身体に香りを付ける為の入浴をしている。
月娘の入浴の手伝いをしているのは猫猫と僑香だった。
「気に入ったなら、この香油は髪にも付けられますよ。椿油を使っているので、髪にもとても良いです。」
「…………………。」
(本当に万能な子だ。)
猫猫に身を任せているだけで気持ちよくなり、月娘はゆっくりと目を閉じた。
(……いやしかし…月娘様のお身体は……。)