【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第5章 花街に毒の華が咲く
「ダメだ!防家が動いたら、妓楼館に居るのが月娘だと公表することになる!!」
例え未遂で月娘を連れ戻したとしても、こんな事が公になれば、月娘が皇室に入る事は絶対に無くなる。
腕を隠した裾で、口元を当てて顔を俯かせている太師の顔が少しだけ緩んだ。
「…皇太弟殿下にお任せします。」
なんだか…。
月娘と一緒に太師にも担がられている気分だった。
だけどそんな敗北感に打ちのめされている場合では無い。
壬氏は知っている。
月娘は本気で自分以外の男と遊ぶ気だ。
そんな事は絶対に許さない。
「こんな仕打ちをされるほど、俺は月娘に何をした!?」
太師と別れて自分の部屋に足早に戻る壬氏は、高順に八つ当たりする様に聞いた。
「……小猫に簪を贈った事への反発かと…。」
「やり過ぎだろう!俺は簪を贈っただけだぞ!」
そう腹を立てても月娘ならその報復がこれだけ倍返しになる事も納得してしまう。
あの毒の華の月娘様だ。
(絶対にさせないぞ!月娘!!)
それだけは絶対に許さない!!