【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第5章 花街に毒の華が咲く
「貴方、本当に凄いのね。」
こんな化粧は初めて見た。
改めて感心して、猫猫を見て感心のため息を吐いた。
(…瑞月が側に置きたいのも分かるわ…。)
知れば知るほど猫猫に興味が湧いてくる。
そして湧き上がる興奮に気持ちが高揚した。
この妓楼館に任せればもっと女人として輝ける様な気がした。
(…そうしたら瑞は……。)
もう少し自分に興味を持ってくれるだろうか。
月娘に簪を贈る男達はかき分けて、自分の元に来てくれるだろうか。
まるで壬氏に構って貰いたくて、駄々をこねている子供の様だ。
(もし…皇室にこの事がバレたら、本当に婚姻も無理になるかもしれない…。)
少し目を伏せて、月娘は顔を俯かせた。
「……大丈夫ですよ、お嬢様。」
そんな風に顔を俯かせる月娘に、妓女の1人が言った。
「明日は誰もお嬢様だと思わない位に、私達が変身させてあげます。」
ニッコリ笑って、月娘の不安を取る笑顔が。
この上無く頼もしかった。
「お嬢様は化けますよー!」
「楽しみね。猫猫。」
「……ええ…まぁ…。」