【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第5章 花街に毒の華が咲く
「…何それ…面白そう……。」
「???ゾクッ」
目をキラキラさせて輝いている月娘の姿に、猫猫の背中がゾクっとした。
なんだ…嫌な予感が抑えられない…。
猫猫は表の扉を開いて、綠青館の中に入った。
「久しぶり、婆さん。」
猫猫が挨拶したのは、綠青館のやり手婆だ。
やり手婆はすぐに猫猫の隣に居る李白を品定めする。
「ふむ……白鈴を読んできな。」
「!!!」
白鈴とは綠青館の三美姫の1人だ。
その名前に李白の顔が真っ赤になり、猫猫の顔は逆に青くなる。
「白鈴小姐はー!!!」
何か言いかけた猫猫の口をやり手婆が抑えながら、笑顔で李白を白鈴に預けた。
(李白様から縛り取る気だな、このごうつく婆…。)
猫猫はやり手婆の頭の中を1番絞めているのが金だと知っている。
金を稼ぐ事になると、どこまでも貪欲になれるごうつくさは一周回って感心するほどだ。
「それで?こちらのお客は?」
やり手婆はチラッと月娘と僑香を見た。
顔を隠しているが、着ている服には金糸で綺麗な牡丹の花があしらわれていて、一目で上級家門の家の娘だと分かる。