【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第5章 花街に毒の華が咲く
返事の無い月娘に、猫猫は薄っすら目を開けて見た月娘の表情に固まった。
「……花街……。」
月娘は目を大きく開けてキラキラ輝かせている。
壬氏にも勝る煌めきで猫猫は目を顰めた。
「…私、猫猫のご実家に挨拶するわ。」
なんで???
「月娘様をお通しできる様な実家じゃありません!!」
猫猫は慌てて言った。
月娘を花街になんか連れて行ったら…。
この首飛ぶんじゃないか?
「私行くわよ。猫猫。」
笑っている口元は扇で隠して、見えている目元は笑っていない。
本気だ…。
本気の命令だ。
隣で李白が小さくなって震えていた。
(…分かるよ李白……。)
こんな美人の前で、妓楼で女人を買おうとしているのだから…。
どんな羞恥プレイなんだ。
しかし全く持って、月娘は李白の心情なんて微塵も考えていない。
今月娘にあるのは『花街に行きたい』その好奇心だけだった。
猫猫は困りながら、月娘の隣に居る僑香を見た。
猫猫と目が合うと、僑香は何かを察した様に頷いた。
それは諦めろと言う事と……。
首は飛ばないって事だよね?