【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第5章 花街に毒の華が咲く
実際に壬氏が後宮に居られない様にするのが月娘の目的だが。
いつもそつなく後始末をする壬氏がまた憎い。
「面白い事が聞けたから、お礼に馬車で送ってあげるわよ。何処まで行くの?」
「え?」
月娘の提案に、猫猫の顔が青くなった。
とてもじゃ無いが、月娘の馬車が行く場所では無い。
「せっかくですが、大丈夫です…。」
李白に至っては、月娘に緊張して全く役に立たない。
断りたいのに協力する訳でもなく、そこに立っているだけだ。
「遠慮しないで乗りなさい。」
「………………。」
あ、これは断ってもダメなやつだ。
「里は何処なの?」
まるで尋問に合っている罪人の気分だ。
李白は体を強張られてチラッと猫猫を見た。
月娘に花街に行くと言うのは、なかなか勇気がいった。
「…私は花街出身です。」
いや、花街と言ったら、月娘の方から行くのを嫌がるかも知れない。
僅かな期待に猫猫は眉間に皺を寄せて祈る様に目を瞑って言った。
「…………………。」
「!!!????」