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【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】

第5章 花街に毒の華が咲く


驚いた様な顔をする猫猫を見て、月娘はニッコリと笑った。

「貴方壬氏から簪を貰ったのに、他の男と里帰りするなんてやるじゃ無い。」

その悪どい笑みに、猫猫の背中がゾッとした。



「壬氏が知った時の顔を思い浮かべたら笑みが出るわ。」

せっかく簪を渡した相手が、他の男と里帰りをするなんて、きっと壬氏は悔しがるだろう。

出来ればその顔を見て、目の前で笑ってやりたい。



「……月娘様は壬氏様が好きなんですか?嫌いなんですか?」

不穏な笑みを浮かべる月娘を見て、猫猫は思わず聞いてしまった。

その後にすぐに、自分が不躾な事を聞いたと、慌てて自分の口を覆った。



「………………。」

月娘は顔を青くしている猫猫を見て一瞬真顔になった。

だけどすぐに、フッと口元が緩んだ。




「私は『壬氏』が死ぬほど嫌いよ。」

「…………………。」

なら、いつも後宮で起こす事件は、壬氏が好きだから起こしているのでは無くて、嫌いだから嫌がらせしているのか。



それはそれは手の込んだ嫌がらせだと猫猫は思った。
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