【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第5章 花街に毒の華が咲く
「……お嬢様…、何をお考えで……。」
無言でスタスタと歩いて行く月娘に、僑香は不安になりながら聞いた。
壬氏と拗れた後の月娘は、絶対に何か騒動を起こす。
僑香は高順と同じで、嫌な予感しかしない。
「………………。」
月娘は扇で口元を隠しながら、無言で歩いていたが、その心は穏やかなモノじゃ無い。
僑香の想像通りに、壬氏に何かしたくて仕方が無いのだ。
「…あら…。」
そんな月娘と僑香の前に、猫猫と若い男性が2人で後宮を出で行くのが見えた。
月娘はすぐにそんな猫猫に声を掛けた。
「猫猫。」
月娘が猫猫を呼んで彼女が振り返り月娘を確認すると、慌てて頭を下げた。
隣の男。李白もまた月娘に気がつくとすぐに頭を下げた。
「…後宮から出でどこ行くの?」
月娘はチラッと李白を見ながら聞いた。
「……3日間の里帰りです。」
猫猫の言葉を聞いて、今度は月娘が目を丸くして驚いた。
「……貴方壬氏から簪を貰ったんじゃないの?」
「なんでそれを?」
月娘が猫猫の耳元でボソッと話すと、猫猫は驚いた様に顔を上げた。