第2章 人形の家
法生の叫び声と、勢いよく閉まった扉の音で双子は飛び起きた。
すると目の前にはホンモノのナルがいて、麻衣がギョッとした表情になる。
「リン、いままでのぶんを再生してくれ」
「はい」
「な、ナル……?」
「もどってきてたの!?」
「だからここにいるんだろうが」
麻衣の言葉に呆れた表情を浮かべるナル。
夢とのギャップがすごいな……と結衣は溜息を吐いていれば、ベースにはいつの間にか礼美たちの元にいたはずの、法生達がいた。
「おーす」
「だいじょうぶどすか?」
「ぼーさんたち!?」
「みんなまでもどってきちゃって、礼美ちゃんと典子さんは!?」
「ふたりはどうしたの!?」
「ホテルに残してきた。ナルがそうしろとよ」
法生の言葉に、双子はギョッとした。
二人を、礼美を守る為に三人がホテルに向かわせたはずなのに大丈夫なのかと不安になる。
「だいじょうぶなの!?」
「だいじょうぶだろう。今夜中に決着をつける」
「決着をつける!?」
「できるの!?」
「なんのために人が駆けずり回ったと思ってるんだ?まったく、これだけの人間がいてこのザマとはね」
呆れるようにナルは溜息を吐き出す。
駆けずり回っていたというのは、何をしていたのだろうと結衣は首を傾げながら、痛む膝を撫でた。
「なによ!見てもないクセに。あいつハンパじゃないわよ!」
「そんなこと、ポルターガイストのようすを見れば一目瞭然だ。原因ははっきりしてる。あの女は子どもを探しているんだ。取り戻したいと思っている」
「そんなことわかってるわよ!」
「ならば、子供をつれてくればいい。……もちろん、富子自身をつれてくるのは不可能だし、無意味だ。年をとった富子を見ても、あの女はなっとくしないだろう」
ナルは淡々と落ち着いた様子で喋る。
その様子に綾子は苛立ったように叫んだ。
「だったら……!」
「原さん、やつらの様子は?」
「……居間にいますわ。まだ、ホテルのほうにはいってない……」
その事に結衣は安堵したが、その次に綾子がとんでもない言葉を発した。
「……ねえ。アタシたち身の安全を考えるべきじゃない?」
「は!?綾子、あんたソレ……」
「礼美ちゃんを見捨てるの!?」