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ハツコイソウ【ゴーストハント/滝川法生】

第2章 人形の家


その後、助け出された二人は綾子とリンに井戸に落ちて意識が無くなっていた間に見ていた夢を話した。
やはり双子は同じ夢を見ていたのである。


「人さらい〜?」


綾子は擦り傷があった二人の膝に、叩きつけるように絆創膏を貼り付けた。


「だと思うんだ。ね、なんか意味ありげな夢じゃない?しかもあたしと結衣二人揃って同じ夢見てるんだよ」

「なーにが!霊能者でもないあんた達の夢に、なんの意味があんのよ」

「いや、そーだけどさぁ。だって二人揃って同じ夢見てるんだよ?なんか意味ありそうじゃん」


結衣の言葉に、リンは何処か考える表情を浮かべた。


「……真偽のほどはわかりませんが、あんがい的を射ているかもしれませんね」

「やっぱそー思います?」

「でもどうしたらいいと思う?アタシにはあいつを除霊するなんてムリだわ」


綾子とリンの話を聞きながら、麻衣がソファに寝転がり結衣の膝に頭を乗せた。


「眠い?」

「うん、ちょっと……」

「寝てていいよ」


麻衣が眠りにつく様子を見ながらも、結衣もウトウトと眠気が襲ってきた。


「あら、麻衣寝たのね」

「うん」

「あんたも眠たいなら寝てなさい」


綾子が結衣の頭を撫でると、それが合図のように結衣も眠りに誘われて、気が付けば夢の中にいた。

ふと、意識が浮上した。
また夢を見るのだろうか……と結衣は瞼を押し上げると、そこにはナルがいた。


「ナル……」


麻衣の声が聞こえて、下へと視線を向ければまた麻衣が夢の中にいた。
おそらくこれはまたいつもの夢なのだろうと思いながら、結衣は麻衣の頭を撫でる。
すると手に麻衣が頬を擦り寄せ、その様子を見ていたナルは柔らかく微笑む。


「……ねえ、ナル。あたしたち、礼美ちゃんを助けてあげれる?」

「礼美ちゃん、だいじょうぶだよね……」


双子の問に、ナルは柔らかく微笑む。


「……だいじょうぶだよ」

「ほんと?」


麻衣の言葉にナルは笑顔で返す。
その笑顔に双子は何処か安心してしまった。


「そうだね」


礼美を助ける為に頑張らなければ。
双子がそう思った時であった。


「ほんとっに、だいじょうぶなのかよ、ナルちゃん!?」
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