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ハツコイソウ【ゴーストハント/滝川法生】

第1章 悪霊がいっぱい!?


麻衣が説明をしようとした時、パタッと男性の額から血が流れ落ちた。


「ち、血が……!」

「……少し切ったな……立てるか?」

「はい」

「あっ、あの……本当にすみませんっ。急に声をかけられてびっくりして、それで」

「いいわけはいい。このへんに医者は?」

「あ……校門を出てすぐそこに病院がありますので、案内します!」

「頼む」


結衣の言葉に渋谷と名乗っていた少年が小さく頷く。
そして麻衣へと視線を向けた。


「手を貸してくれ」

「はっ、はいっ」


麻衣は男性を支えようと手を伸ばしたが、その手は呆気なく叩かれてしまった。


「けっこうです。あなたの手は必要ではありません」


冷たく突き放すように、男性が麻衣へと鋭い目を向けながら言い放つ。
拒絶しているかのようなその行動と言葉に、麻衣と結衣はキョトンとしてしまった。

だが、直ぐに二人は腹の奥底から怒りが込み上げてきた。
確かに悪いのは自分達ではあるが、こんな風に拒絶するものだろうかと。


「……昨日会った子たちだな。名前は?」

「……谷山!」

「同じく谷山!」

「では、谷山さん達。親切で教えてさしあげますが、さっきチャイムが鳴りましたよ」


彼の言葉に2人は目を点にした。
そして『うそー!!??』と同時に叫んで、その場から急いで走り出した。


「遅刻!遅刻する!!」

「ていうかなんなの!?なんなのあいつらーっ!やっぱりあそこはフキツな場所なんだ!!」

「フキツかどうかはわかんないけど!!嫌な奴らだったー!!」


双子は叫びながら校舎へと走って向かった。


そして放課後。
結衣は少しだけムカムカしながらも、麻衣がいる1ーFの教室へと向かった。


「麻衣、帰ろー」

「ん、待って」

「えー!結衣と麻衣ったら帰るの?昨日のホラ!渋谷先輩!来るっていったじゃなーい。会わないの?」

「「別にいい」」


2人が声を揃えて言うと、ミチル達は信じられないと声を上げた。


「あのお姿をもっぺん拝みたいとか思わないわけ!?」

「思わねーよ」

「思わないよ……たくっ。というか、あれはあたしの好みじゃない……」


そんな2人を無視して、ミチル達は騒ぎながら話を進めていた。
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