第2章 人形の家
なんて二人で騒いでいた時である。
「麻衣ちゃん、結衣ちゃん」
不意に声をかけられて、そちらへと視線を向けるとトレーにポットとカップやらを乗っけて立っている典子さんがいた。
「あ」
「典子さん」
「ちょうどよかったわ。礼美のおやつの時間なの。一緒にどう?」
なんとも嬉しいお誘い。
あたし達は断る理由もないのでと、そのお誘いに乗ることにしたのである。
「幽霊退治ってたくさんの機械を使うのね。イメージしてたのとぜんぜんちがうわ」
「たしかに、イメージとは違いますよねぇ」
「よそはどうだか。あたし達も最初ビックリしちゃったんですよ」
なんて会話をしながら、礼美ちゃんの部屋がある二階へと向かっていく。
「礼美ちゃんってかわいいですね。どっちかってゆーとお父さん似ですか?」
「ううん、母親似よ」
「母親似って、香奈さんに?」
「香奈さんとあんま似てないなーって……」
自己紹介で会った時の礼美ちゃんは、ふんわりとした雰囲気の可愛らしい女の子だった。
だけど香奈さんはどちからと言うと、少しキツめの美人さんという感じ。
あまり礼美ちゃんと香奈さんは似ていない。
だけど母親似というのはどういうことなのだろうか……と考えていれば、典子さんは少し困ったように笑った。
「ああ、義姉は兄の再婚相手なの。礼美はまえの奥さんとの子だから」
「え、あ……ごめんなさい」
「ごめんなさい」
「気にしないで」
典子さんは柔らかい笑みを浮かべてから、礼美ちゃんの部屋をノックしてから開けた。
「礼美、おやつよ。麻衣ちゃんと結衣ちゃんもいっしょ」
「こんにちわー」
「こんにちは、礼美ちゃん」
部屋に入れば、礼美ちゃんは床に座って絵本を読んでいた。
ふわふわの髪の毛に大きなクリクリとした瞳。
まるでお人形さんのように可愛らしい礼美ちゃんに、ついつい笑みがこぼれてしまう。
「コンニチハ」
礼美ちゃんはあたし達の元に駆け寄ってくると、両手に抱えた西洋人形の手を持って握手をしてきた。
「こんちには〜」
「こんにちはー。お名前は?」
「ミニー」
にっこりと笑う礼美ちゃんは本当に可愛らしい。
本当にお人形さんみたいだし、こんな可愛い子はなかなか見たこともない。