第2章 人形の家
そして、なんとあたしのどタイプな人である初恋相手であり、現在進行形で好きな人である。
我ながら趣味が悪い。
「ゴーストハントだっけ?あいかわらずとおおげさねぇ?この機材のヤマ!どーせ地霊かなんかのしわざよ」
こちらは松崎綾子。
自称巫女なのだが、とても巫女とは見えない派手な装いと派手なメイクである。
二人とも別にSPRのメンバーではないんだが、なんと香奈さんが依頼して来た霊能者達である。
(綾子は別に嬉しくないけど、ぼーさんとまた再会できたのは正直嬉しいな……)
たぶんこれを綾子に知られたら、うるさいだろう。
「あたしは人間のしわざだと思うな」
「あーら、いうじゃない」
「まあ、聞いてよ。ポルターガイストって半分は人間が犯人である場合でしょ。それもストレスのたまってる女性であることがおおい。この家でその可能性のある女性……義理の姉とおりあいのわるい妹……つまり」
「典子さんかあ?」
「えー?あたし、典子さんとは思えないなあ」
「なーるほど。香奈さんってけっこうキツそうだもんねえ」
というかそれ、ナルが前に言っていたことを丸パクリで言ってないだろうか。
なんて思ったけれど、仕入れた新しい知恵を話したがる妹はとても可愛らしい……と思ったが、そこできついお一言が飛んできた。
「素人の浅知恵だな」
「と、言われると思った……」
「ポルターガイストの犯人であることがおおいのはローティーン……つまり思春期の子どもだ。典子さんは二十歳。思春期というには成長しすぎている感じだな。たしかに霊感が強い女性の場合もあるが、それについて今夜にでも実験をしてみる」
訂正された麻衣は悔しげに、そして苛立っているかのようにしているがあたしは横でケラケラと笑っていた。
それが腹にたったのだろう。
「なあにケラケラ笑ってんのさ、結衣!」
「浅知恵だってさ!」
「うっさい!」
「おまえら、本当に仲のいい双子だなあ」
キャッキャッと騒いでいたら、御仁から『うるさい』という叱責を受けてしまった。
なので二人で部屋を出れば、ぶつぶつと麻衣は何かを呟いていた。
「あーあ。あたしもなぁ、なんでよりによってあんなヤツを……」
「趣味が悪いねぇ」
「あんたに言われたくない。ぼーさんなんか趣味が悪い」
「う、うるさいなぁ!」