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ハツコイソウ【ゴーストハント/滝川法生】

第10章 悪夢の棲む家


結衣はそうだと言わんばかりに頷く。


「広田さんが心配するような事はなにもされてませんから」

「……だいたい、未成年と恋人になるのはどうかと俺は思うがな」

「それも差別に近くねぇか?法律で成人男性が未成年と交際するのは禁止なんてのはねぇだろ」


法生はまたニヤリと笑う。
そんな彼を広田は睨むが、確かに成人男性が未成年と交際してはダメなんていう法律はない。


「それに広田さん考えた方がおじいちゃんみたいですよ?最近なんて年の差の恋人なんて結構いるし、あたしの学校で成人してる人と付き合ってる子なんているし」

「お、おじいちゃん……」

「まあ、広田さんが心配して言ってくれたのは分かってますよ。ありがとうございます」

「……ああ」


法生はやれやれと言いたげに溜息を吐く。


「たく。未成年と付き合ってるだけで犯罪者扱いされちゃたまらんな」


その言葉に結衣は少し眉を寄せた。
法生がああ言われたのも、学校で心配されるのも全ては自分が未成年だから。

もし自分が法生と同い年、もしくは成人していればこう言われることもなかったのだろうか。
少し胸が痛み出す。


「結衣ちゃん」


ふと、翠が結衣の様子に気がついて声をかけた。


「貴方の恋人、とてもカッコイイ人ね。優しそうだし、大切にされてるんじゃない?」

「……翠さん」

「今どき、年の差の恋人なんて珍しくないし。広田さんの言葉は気にしなくても大丈夫よ」


その言葉に結衣は少しだけ救われた気分だった。


「そうだ。そちらの方達って……」

「僕は先日会いましたね。安原修といいます」

「俺は滝川法生といいます」

「安原さんと滝川さんですね」


結衣は確かに翠の言葉に救われた気分だったが、まだ胸には引っ掛かりを覚えていた。


(あたしが未成年だから、ぼーさんはあんな言われ方されちゃうんだ……)


これほど自分が未成年であることを恨んだことは無い。
そう思いながら溜息を吐き出していれば、それを法生が見ていた。


「そうだ。夕ご飯の準備をしなきゃね、お母さん」

「そうね。安原さんと滝川さんも食べっいってくださいな」

「ありがとうございます」

「じゃあ、お言葉に甘えて」
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