第10章 悪夢の棲む家
「言葉通りだよ。除霊する必要もないみたいだし、損だったね!」
「笑いながら失礼な事言う子ね!こうしてやる!」
法生は結衣の両頬を引っ張る。
程よく柔らかい彼女の頬は伸びてから『いたいいたい』と結衣は痛がる。
そんな時に広田と翠達がベースに来る。
そして広田は二人を見てから眉を寄せていた。
「仲がいいんだな」
未成年にやたら近くはないだろうか。
広田はそう思っていると、麻衣がしれっと言った。
「だってあの二人、恋人ですからねぇ」
その言葉に広田と翠に阿川夫人は目を見開かせた。
「恋人!?」
「ちょっと麻衣!?なんで教えてんの!?」
「ちょっと待ってくれ!谷山さんはまだ未成年だったよな!?この男はそして成人済み……どうみても三十路近いような男だろう!」
広田はそう叫び、結衣は面倒臭いのに知られたら……と顔を手で覆う。
「何か、問題でもあんのか?」
法生はニヤリと笑いながら結衣を抱き寄せる。
そんな彼に広田は叫んだ。
「不同意性交罪だろう!」
「俺、結衣にみだらな行為はしてねぇぞ?それなのになんで不同意性交罪なんだ?」
「谷山さん!何か脅されてたりとか、嫌なことはされていないのか!?大丈夫なのか!?」
広田は心配そうに、そして法生を睨んでから結衣へと詰め寄る。
そんな広田に結衣は困ったように苦笑いをする。
「いや……そんな事はされてないですよ?」
「本当なのか!?」
「ぼーさんはあたしが嫌がることはしないですよ?それに不同意性交罪になるような事は全くされてないですし」
結衣は少々嫌気がさしていた。
学校で恋人が出来たと友人に言い、年齢を言えば驚かれて『変なことされてないの!?』と心配されたのである。
法生は結衣にキス以上の事はしていない。
なんなら清らかな真剣な交際をしているし、みだらな行為をしようという雰囲気は全くないのだ。
「あのなぁ……どんな想像してんのか知らんが、俺は結衣にキス以上の事はしてねぇぞ?兄ちゃんや」
「その見た目で信じられるか!」
「あー差別だぞ。だいたい、年の差があるだけでなんでそこまで言われなきゃならんのだ。俺と結衣は清らかな真剣交際してんだぜ」