第9章 忘れられた子どもたち
「あたくしも違います。リンさんでもブラウンさんでもないと思いますわ。除霊ではなく浄霊でしたもの。浄化の光が見えましたから」
「さいですね。ボクはなにもでけへんかったです」
あたしと麻衣だよーと言うのもちょっと恥ずかしくて黙りしていれば、皆の視線が綾子へと向く。
「あっ、アタシ!?ちっ、ちがうわよ!この近くにはおすがりできるような木はないもん」
何故あたしと麻衣を無視するのだろうか。
そんなにあたしと麻衣が浄霊したのが信じられないのだろうか、もしくは信じたくないのだろうか。
(流石に拗ねちゃうよ……)
ムスッとしていれば、安原さんが呟いた。
「……残るのは二人しかいませんね」
「まっさか!かってに浄化したほうに一票入れるわ」
憎ったらしいことを言うのは綾子。
突っかかってやりたいところだが、ショックな方がちょっと大くて項垂れてしまう。
「さーて、帰るか」
ちょっとあんまりじゃないかと麻衣とブツクサ文句を言う。
確かにあたしと麻衣の能力はミソッカスでノーコンだし、そんなに役には立たない。
だからと言ってこれは酷いじゃないか。
なんて思っていれば、歩き出していたぼーさんがあたしと麻衣の頭をグシャグシャと撫でてきた。
そして綾子と真砂子はあたしと麻衣の背中を叩き、ジョンと安原さんは優しい笑顔を浮かべている。
リンさんは縁起のいい笑顔。
「……おつかれさん」
ナルが通り過ぎる際にその一言。
それだけで『まあ、いっか』となってしまった。
やっと事件が終わった。
仕事も終わった。
だけど本当の事件は
もうすぐそこで待ち構えていた。