第8章 呪いの家
「──オン キリキリバザラ バジリホラマンダマンダウンハッタ!オンサラサラバザラ ハラキャラウンハッタ」
その声と人影は法生だ。
そう認識出来た時、法生の真言に吹き飛ばされるように死霊が窓の外へと逃げていく。
「オンアミリトドハンバウンハッタ オソビソホラダラキシャバサラハンジャラウンハッタ!オンアサンマギニウンハッタ。オンシャウギャレイマカサンマエンソワカ!」
独鈷杵が窓の元に突き刺さる。
「……こ……これで入れるもんなら、入ってみやがれ……」
窓の下から男が顔をのぞかせる。
部屋に入ろうとしたのか手を伸ばしたが、なにかに弾かれたように消えていく。
中に入れない。
その事を理解できた結衣と麻衣はその場に座り込んでしまった。
「ブラウンさんは」
「若旦那たちを先導してる。じきにくるぜ」
「……あっちに何かでたの?」
「でたなんてもんかよ。土左衛門のデモ隊に囲まれたぜ。ゾンビ映画かっつーの」
よく見ると法生は傷だらけであった。
自分たちの時のように鎌鼬に襲われたのだろうかと思い、結衣は救急箱を探そうとした時である。
廊下のほうから克己の泣き声が聞こえた。
「克己くんの声……!?」
「……向こうでなにかあったの?」
「くそっ」
法生が走り出し、結衣と綾子も飛び出す。
「──あ、えと……」
「行ってらっしゃいませ」
麻衣は戸惑っていたが真砂子に送り出されて、三人を追いかけて走り出した。
「ジョン!」
走った先にはジョンは白いものに囲まれていた。
その後ろには克己や彰文たちがいて、それを守るようにジョンが聖水をかけている。
「こっちへ走れ!ベースまでいけば安全だから」
「大丈夫!?」
「この白いものに触らんといてください!エライめにあいます!」
「え、あ……」
「なに……」
結衣と麻衣は白い人魂のようなものに囲まれる。
するとそれが二人の腹部を貫いた。
じわりと痛みが広がる。
すぐに刺されたと思いら腹部を見ると血が溢れていた、その場に二人は蹲った。
「結衣!?麻衣!?」
「あや……あや……こ、あたし……」
「綾子……」
「結衣!?」
綾子と法生が倒れた二人に駆け寄ろうとする。