第8章 呪いの家
「五人……」
結衣はまた麻衣が見たという夢を思い出す。
自分以外の残りのメンバー……麻衣とナルに法生と綾子とリンが追っ手に追われて囲まれたという夢。
「その文久二年のと『六部塚』関係の一揆はたぶん同じもんだろうな。首謀者は五人、その墓を神社の隣に──庭の石がそうか!」
村人二裏切られて追われ殺されたり一揆の首謀者。
『かならず末世まで呪ってやる……!』
結衣は麻衣が夢で聞いた言葉というのは、このことなんだと理解した。
「──さあーて。ほんじゃ、いってみっか」
「ぼーさん?」
「一揆の五人と三人の六部。どっちが犯人だと思う?」
「どちらか限定するには手がかりが少なすぎますよ」
「と、なりゃ──ジョン。五人と三人手分けしよーぜ」
「ハイ」
「リンさんや。あんたはどーする」
パソコンを叩いていたリンが振り返る。
相変わらず無表情であり、話しているあいだはずっと機材に向いていたが話はきちんと聞いていたようだ。
「わたしはいけません。今日の騒ぎで式を一つ飛ばされたので、ここにいないとナルが無防備になりますから。暫くすれば戻ってくるでしょうが。──一つ、申し上げてよろしいですか?」
「なんだえ?」
「力を分散させないほうがいいと思います。猛烈な抵抗があると思いますよ」
リンの言葉に法生は自身の腕を見る。
鎌鼬の傷跡を見てから、苦い表情を浮かべた。
「……しゃーない。数の多い方から片付けるか。一揆の五人から……」
突然、地震のような横殴りされたように建物が揺れた。
それと同時に廊下などから誰かが走り回っているような音が響いてくる。
「な、なに?廊下?」
「誰か走ってるの!?」
すると機械が『ピー』という音を鳴らした。
「滝川さん、温度が下がります。ダメです、サーモグラフィーはすべてエラー」
モニターが一斉に切れていく。
「モニターが……」
砂嵐の音が響く。
まさかの事態に誰もがその場に固まる。
「……先手を打たれるというやつですね」
「たずねていこうも思ったのに、向こうからでむかれちまったよ」
「それって、もうけじゃないですか」
「美人が相手ならな」
「そうか。見苦しい女性だと迷惑なだけか」
「そういうのに限ってしつこいんだ」
「経験者の言葉は重みがあるなあ」