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ハツコイソウ【ゴーストハント/滝川法生】

第8章 呪いの家


「ええ。外出したにしてもこんな時間まで連絡もないなんてことは今までなかったので……」

「お店のほうにもいないんですか?」

「いいえ。部屋に財布やなんかが置きっぱなしだったので、そんなに遠出もできないと思うんですけど……」


彰文の言葉に全員が顔を見合わせる。
結衣たちも奈央の姿は見ておらず、綾子が護符を渡せていないと言っていた。


「捜すの手伝います。リン、ここをたのんでいいか」

「ボクもいきます」

「あたしも行こうか?」

「いや、結衣はベースにいろ」


法生はジョンを連れて彰文と共に捜しに行った。
それからかれこれ一時間以上はたつだろうか……一向に法生たちは戻ってこなかった。

奈央はどこに行ったのか。
静かなるベースで結衣たちは沈黙が続いていたが、それに耐えかねた麻衣が綾子に声をかける。


「いま何時?」

「一時ちょっとすぎ」

「遅いね、ぼーさんたち……」

「やっぱあたしたちも捜しにいった方がよくない?」

「足でまといになるのがオチですわよ」

「でも!」


襖が開く。
足音と話し声が聞こえて、結衣たちは強ばった身体の力を抜いた。

戻ってきた。
もしかしたら奈央もいるかもしれないと思ったが、入ってきたのは法生とジョンと彰文だけだった。


「おかえり。どうだった?」

「……ダメ。あした帰ってこなかったら捜索願を出すってさ」


結衣はふと嫌な予感がした。
捜してもいない奈央、何か嫌な感じがすると汗で少し張り付いた髪の毛を撫でる。
その時、リンが法生へと声をかけた。


「滝川さん、これを。例の洞窟です」


リンが法生を呼び付け、画面を見るように促す。
画面には洞窟を映している映像が流れているのだが、結衣はそれを見て首を傾げる。

暗くてよく見えない。
そう思っていると、同じように画面を見ていた法生の顔色が変わった。


「リン、懐中電灯があるか」

「車に載せてあります」

「ジョン、こい。結衣たちはここにいろ」

「ぼーさん?」

「若旦那はこの場を頼む」

「ちょっと、ぼーさん!?」


法生たちは何があったのか説明せずにベースを出ていった。
そんな彼らを見ながら結衣は息を吐き出してから画面を覗く。
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