第8章 呪いの家
「相当古いものらしいです。このに店を建てたときからあったそうですから。ほとんど壊れてしまっているので、今は使ってませんけどね」
フェンスは施錠されていて開かないようになっていた。
「店が出来たのはいつ頃なんです?」
「曽祖父の代だと聞いています。金沢にあった店をここに移したそうです。元々ここはうちの本家があって、曽祖父も何度も来ていたらしくて。それでここに店を移すことにしたようですね」
「その本家はいつ頃この土地に?」
「さあ、それは……。菩提寺の墓に入ってる人で一番古い人は安政年間の生まれですがそれ以前になると……なんでしたら祖母に聞いておきましょうか」
「たのみます」
法生はなんだかんだナルのようにちゃんと話を訊ねていた。
真剣そのもので真面目そうな雰囲気は珍しいものであり、結衣は珍しい姿を見れたと少し喜んでいる気持ちがあった。
「ときに、安政年間というといつ頃でしたっけ?」
「江戸時代だというのはたしかなんですけど、詳しいことは。何しろ受験から遠ざかって長いもので」
「現役高校生」
法生が双子を見た。
だが双子は歴史があまり得意ではないようで、困ったような表情になってしまう。
「あっ、あたしの学校じゃまだ源氏と平家が戦ってんだい」
「同じく!源頼朝が活躍中!」
「真砂子は?いちおう学校にいってんだろ?」
「『いちおう』は余計ですわ。うちではまだ源氏の君が活躍してますの」
「え、真砂子って高校行ってんの!?」
「うそ!?高校生なんだ!?」
てっきり高校には行っていないものだと、結衣たちは思っていたのである。
そんな双子に法生はケラケラと笑っていた。
「芸能人で有名な某私立高校だよな」
「うっそ、スゲーッ!んじゃ、基本的に忙しいんでしょ?よく来れたね」
「忙しいんですの。まだ補習の途中でしたし……」
「補習……」
「言っておきますけど、出席日数を補うための補習ですわよ」
真砂子は基本的に忙しくしている。
TVではよく彼女が出演しているのを見るし、依頼があればそちらに飛んでいる。
SPRの仕事で手助けしてほしい。
なんてお願いすればすぐに飛んでくるときもある。
補習していてもおかしくないと結衣は腕組みしながら頷いた。