第8章 呪いの家
「何人の方がどのように亡くなられたかを覚えておいでですか?」
「……はい。家からは八人でございました。七人の子供のうち下の五人、一番の上の孫とわたくしの従兄弟と叔父と……半分ぐらいが事故で、残りが原因のよく分からない病気でございます」
多すぎる死人の数だ。
あたしは眉を下げながら、おばあさんの部屋にあった仏壇へと目線を向けた。
「家から──ということは、家族以外にも亡くなった方が?」
「……はい。店の……お客様が……」
おばあさんが言い淀む。
どうしたのだろうと思っていれば、裕恵さんが『お母さん』と促すように声をかけた。
「きちんと、お話したほうが……」
「なにか?」
「母は皆さんが帰ってしまわれるのじゃないかと不安なんです」
「……と、おっしゃいますと?」
「……霊能者の方が三人亡くなりました」
その言葉に静けさが訪れる。
霊能者ということは、あたし達のような人達が三人も亡くなっているということだろう。
それは彰文さんから聞いてなかったや。
なんて思いながらも、確かに言い難い内容ではあると思った。
「なるほど」
「助けていただきたいのはやまやまですが、危険を承知でご無理は──」
裕恵さんがそう話すと、ぼーさんがそれを遮るように言葉を発した。
「危険なようなら引き止められても帰りますよ。おれたちは分てえのを知ってますんでね。だからといって相手を見ないで帰るほど臆病じゃない。──とはいっても、客も危ないとなると厄介だ。どうする、ナルちゃん?」
「いま、店にお客は?」
「いらっしゃいません。父が亡くなってから閉めてございます。従業員も葬儀の片付けが終わってから休みを取ってもらってます。いま、この建物にいるのは家族だけです」
「賢明な処置だと思います。ところで、なにか異変のようなものを感じた、あるいは妙なものを見たということは?」
「あ……ええ」
ナルの問に彰文さんが答えた。
「まず、祖父の葬儀の日に祖母が飼っていた九官鳥が死にました。それから三日ほどの間に飼っていた鳥が二羽、犬が三匹全部死んでます。鳥は鳥籠の中で死んでいましたが、犬はどれも岸に打ち上げられているのが見つかりました」
その言葉に眉を下げ、可哀想だと思ってしまった。