第7章 血ぬられた迷宮
あたし達は玄関へと向かった。
そして玄関を叩けば、出てきたのは大橋さんであり彼はあたし達をみてたいそう驚いていた。
あたし達が外にいることや、安原さんや森さんの存在にもかなり驚いていた大橋さん。
そんな彼にニセ所長(大橋さんにバレていない)の安原さんが説明をした。
屋敷の奥で失踪者を見つけたこと、みんな既に亡くなっていることを。
「──除霊は不可能です。あとで報告書を提出しますが、厳重に封印して先代の遺言通りこのまま朽ちるにまかせるか……さもなくば炎による浄化しかないと思います」
「……わかりました」
そうして、あたしたちは美山邸をあとにした。
今までの中で唯一解決したとはいえない事件であった……。
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ー数日後ー
「火事か……」
数日した頃に火事をしらせる小さな記事が新聞に載っていた。
事件の真相に比べたらあまりにも小さな記事だった。
あたしは新聞を読みながらぼんやりとしていた。
あれだけ大変な思いをしたが、こんな小さな記事で火事の知らせだけ。
「……怖い思いしたよねぇ」
なんて話しかけてみるが、麻衣から返事はない。
妹は絶賛傷心中であるのだ。
「たかが櫛じゃん」
「たかが櫛じゃない!なんでナルがあれを持ってたのか!!」
「さあ?ナルに聞けばあ〜」
「聞いても答えてくんないじゃん!」
「可哀想な妹よ。お姉様がお茶入れてあげるから元気を出してくれやい」
「お茶じゃ元気でなーい……」
やれやれとお茶を入れるために椅子から立ち上がった時である。
「こんにちはー」
ドアベルが鳴り、森さんが顔を覗かせた。
「あれ、森さんいらっしゃい」
「森さん!お久しぶりでーす」
「お久しぶり〜!リンとナルは?」
森さんは相変わらずのにこやかな笑みを浮かべながら、辺りを見渡している。
「食事に出てますけど……なにかご用だったんですか?」
「んー、わたし今日帰るからその前に食事でもと思って」
帰るという言葉に首を傾げる。
そういえば森さんって何処から来たんだろうと思っていれば、隣にいた麻衣が興味津々と尋ねる。
「……どちらへお帰りなんですか?」
「ん?ナイショ♡」
手強いと思った瞬間であった。