第7章 血ぬられた迷宮
ふと、目が覚める。
何度か瞬きを繰り返していると視界がはっきりとしてきた。
「あ、二人とも起きた?次の部屋に移動するよ」
綾子の声がしてそちらへと振り向き、麻衣とお互いの顔を見る。
そして頷きあってから言葉を発した。
「──……真砂子」
「え?」
「生きてた……」
「無事だったよ」
あたしと麻衣の言葉に全員が目を見開かせる。
「あのタイル張りの部屋にいた。怖いって……凄く辛そうだったけど、でも無事だった」
「……ほんとに?」
「ほんと!あたしと麻衣、約束したの。真砂子を助けるって、絶対に!」
助ける、助けてみせる。
あたしは目元に浮かんでいた涙を強く拭った。
暫くして、リンさんが空白部分の壁を何回目か分からないがレーダーで探していた。
そして彼はモニターを見ながら頷いた。
「壁の薄いところがあります」
その言葉にあたし達は歓喜した。
「うっしゃ、かかるぞ少年!」
「はい」
ぼーさんと安原さんが壁を壊し始める。
ツルハシやバールを振りかざしてなんどもなんども壁に打ち付けていく。
数分ともせずにすんなりと壁には穴があいた。
ぼーさんたちがカメラをかざす。
するとそこには玄関みたいな門が佇んでいた。
「──……っんなんだ、こりゃあ!?」
「玄関みたい……家の中に家があるってこと?」
「行ってみよう」
壁の向こうは一メートルぐらい低くなっていて、先に降りたぼーさんたちの手を借りてあたしたちは降りた。
「なんで家の中に家なんかが……」
玄関らしき扉には南京錠があったが、ぼーさんがツルハシでそれを意図も簡単に壊す。
そして中に入ってみると真っ暗であり、懐中電灯の明かりがなければ辺りが見渡せない状態だった。
中には階段がある。
階段の横の向こう側に廊下があり真っ暗な道が続いていた。
「あの天井が一階の床部分にあたるわけですね」
「結衣、麻衣。夢で見た場所ってここか?」
「違う……」
「こんなんじゃなかったよ。暖炉があって右側にクローゼットがあって……」
「部屋だったよ。ここじゃない」
夢で見た部屋とは違う。
ここではないんだ。
「ひょっとして、ここは鉦幸の住んでいた母屋じゃないか?」
「ありうるな。よし、暖炉のある部屋ってのを探そう」