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ハツコイソウ【ゴーストハント/滝川法生】

第7章 血ぬられた迷宮


にっこりと微笑む麻衣にナルは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべている。
そんな二人にあたしはケラケラとお腹を抱えて笑っていた。


「……撤収の準備をする。荷物をまとめろ」

「はい、所長」


そうして、あたし達は帰る準備を始めることに。
あたしは細々とした機材を片付けていて、麻衣たちは先に部屋に戻っていた。


「結衣、あとの細々としたのはぼくたちがやる。部屋に戻れ」

「はーい」

「ぼーさん結衣について行ってやってくれ。ぼくもいく」

「あいよ」


そうして、あたしはぼーさんとナルに着いてもらい部屋に戻ることに。
なかなか珍しい面子での移動だなと思いながら、機材を机の上に置いてからベースを出る。


「それにしても、ナル!黙ってることはなかったんじゃない?あたし達に説明してくれも良かったじゃん」

「さっきも言った通り、腹芸が出来ない人間がいるだろう」

「それはあたしと麻衣を言ってるのか」

「それ以外誰がいる。馬鹿正直で直ぐに表情に出るだろう、お前と麻衣は」

「失礼な!!素直って言いなよ!」

「ま、そこが結衣と麻衣のいいところでもあると思うぜ?とくに結衣は感情豊かで素直だからなぁ。涙脆いし」


ぼーさんとナルは失礼だと思う。
そう思いながら歩いていると、部屋にたどり着いた。


「わざわざ送ってくれてありがとうごさいました!ナル、ぼーさん!!」


怒ったように言いながら部屋に入ると、既に麻衣たちは帰る準備をしていた。


「あ、戻ってきた。誰かに送ってきてもらったの?なんか言い争う声聞こえたけど」

「ぼーさんとナルに送ってもらったよ。ナルがあたしを馬鹿扱いしたから怒ってたの!」


なんて言うと何故か真砂子に睨まれる。
何故と思いながらも、あたしは帰る準備を済ませていく。


「……いいのかなあ。ほんとうに帰っちゃっても」

「確かに……いいのかなあ」


失踪者の人たちをそのままにするのは、何となく心苦しい。
見つけてあげなくてもいいだろうかと思ってしまう。


「ナルが良いって言うんだからいいんじゃない?あとは警察に任せましょ。それよりさ、アタシ、シャワー使うから時間稼いどいてよ」

「はー!?」

「えーっ!?やだよ、ナルに怒られる!」

「帰ってから入りなよ!」
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