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ハツコイソウ【ゴーストハント/滝川法生】

第7章 血ぬられた迷宮


本来は色んな波長の電磁波を当てて地中の埋蔵物を探すものとリンさんから聞いた。
だが今回はそれで壁の厚みを調べて、薄いところを当てたらそこで穴を開けようということである。


「この壁が一番薄いようです」

「くぐれる程度の穴が開けばいい」

「あいよ」


ぼーさんが勢いよくツルハシを振りかざすと、壁へとそのまま当てる。
そしてジョンも加わり、壁に穴を開け始めたのだが、壁を壊す際の音が大きくて凄いのだ。

酷くて大きな音。
思わず耳を塞いでしまいながらも、ぼーさんたちを様子を少し離れた場所で見守る。


「かわります」

「おおきにさんです」

「ナルちゃんは変わってくんないのー?」

「生憎手一杯だ」


途中、リンさんがジョンと変わる。
だがナルはこういう作業はしたくないらしく、図面をただ見ているだけだった。

数分経った頃ぐらい。
ようやく人が一人くぐれる程度の穴があいた。


「……どっ、どーだこのヤロ……」


リンさんは息切れしていないが、ぼーさんは完全に息切れを起こしていた。


「だいじょーぶ?ぼーさん。お水あるよ」

「おー、ありがとよ……」


あたしは持ってきていたバックの中からペットボトルの水を取りだした。
それをぼーさんに手渡すと、彼は疲れた表情で水を飲んでいく。
そんな彼を見てからあたしはリンさんの元へと向かった。


「リンさんもどーぞ」

「ありがとうございます、谷山さん」


あれ以来、少しだけリンさんの態度が柔らかくなった。
言葉にも棘がないし、そこまで固い口調でもなくなっていて、それが少し嬉しかった。


「……どうかしましたか?」


あたしがニコニコとしていると、リンさんは不思議そうにしながら首を捻っている。


「なんでもないよ〜!」


言えるわけがない。
リンさんの態度が柔らかくなったことが嬉しいなんて。


「まず、赤外線カメラで中の様子を見る。結衣、カメラの用意」

「あ、はーい!」

「ボクが運びます」

「ありがとう、ジョン」


慌ててあたしはリンさんが運んできたカメラを手に取り、それをジョンに手渡す。
そしてジョンとぼーさんが外から赤外線カメラで中を映す。


「……なに、これ」

「なんだろう……焼却炉みたいだよね。学校とかにある」
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