第7章 血ぬられた迷宮
「なあ、もしかして宏幸氏は知ってたんじゃないのか。自分の父親がかこでやってたことをさ」
「ありうるな。それでここを封印し、増改築を繰り返して屋敷の奥深くに隠した……」
『幽霊が出るから出ないようにするんだ』
その幽霊というのは、父親の殺した人達のこと……と思ってある事を思った。
何故鉦幸は死んでいるのに未だに若い人たちは行方不明になるのだろうかと。
「鉦幸は死んでるのに……なんで今も人が消えるの?」
私の言葉に麻衣が目を見開かせてナルを見る。
「結衣の言う通りだよ。鉦幸は死んだのになんで今も若い人達が消えるの?もしかしてまだ……」
「……鉦幸はけして長命といえるほど長生きしたわけじゃない。さぞ無念だったろう。人を殺してまで長らえたかった自分の命は結局長持ちしなかった訳だから。おそらく、失踪事件にここで殺された人間の霊は関係ない。鈴木さんは死んでいた。殺した者がこの家に住む霊なら、その悪霊は鉦幸……浦戸でしかありえない」
「じゃあ……浦戸は……」
「ああ。浦戸はいるんだ。この家に……まだ、ここで生け贄を求めている」
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朝日が登った頃。
あたし達全員は大きい煙突があった中央部分の場所へと向かっていた。
懐中電灯に図面、ジョンはツルハシとシャベルを持っていてリンさんは機材を持っている。
「──あっ、この辺だよ。大きい煙突があるかもって言ってた場所!」
「よし、リン」
「……やーれやれだ。まさかほんとに壁をブチ壊す羽目になるとはな」
そう、あたし達は今からこの中央部分の壁を壊す。
それは閉ざされた部屋を見つけるためであるのだが、一応ちゃんとナルは大橋さんには許可を貰ったらしい。
許可が出たことにちょっと驚きである。
「ぼーさん、似合うね。そーゆーカッコ」
「ほんとに似合うね。そーゆー職業も向いてるかもよ」
ぼーさんは髪をハーフアップにして、軍手をしてからツルハシを持っている。
本当に良く似合うと思いながら麻衣とケラケラと笑っていた。
「お前たちも肉体労働担当だろーが。手伝えよ」
「あたし達か弱いもーん」
「無理だよ〜、あたし達じゃ!」
そんな中で、リンさんは地中レーダーを壁にかざしていた。