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ハツコイソウ【ゴーストハント/滝川法生】

第7章 血ぬられた迷宮


余計な事を言うから。
やれやれと麻衣と溜息を吐いていると、真砂子の顔色が悪いことに気が付いた。


「……真砂子?」

「どうしたの?顔色悪いよ」

「……なんだか、嫌な気配がしますの。この家に来てから……ずっと。それに──血の臭いがする気がしますわ」


真砂子の言葉に、あたしと麻衣は顔を見合わせた。
玄関で微かに臭ったあの臭いは『血』なんだと今更気付いたのである。


「……あ」

「そうか……」

「なんだ?」

「うん……玄関のとこで一瞬だったけどね?麻衣と二人で嫌な臭いがしたのに気づいたの」

「あれ、血の臭いだったのかも……」

「はあ!?」

「こらこら。二人とも、そーゆーことは早く言えよ」

「だってー気の所為かもしれないと思って!」

「嫌な臭いはしたけど、それが血だとは気づかなかったんだもん!」


真砂子や麻衣と感じた血の臭い。
そして嫌な気配というものと、幽霊が出るという噂。
二人の行方不明者が出た古い洋館。

ここには

何かがいる──?


✴*✴*✴*✴*✴*✴*✴*✴*✴*✴

ーthird person singularー


結衣と麻衣は、滝川と安原を連れて屋敷内の温度を測る為に歩き回っていた。
だが四人は屋敷内の様子を見て唖然としている。


「うわー……」

「わー……」


天井近くの壁に階段の跡、半分埋もれている扉、天井にある扉。


「シュールだのう……」

「変な家……」

「こういう感じの絵がありましよね」

「先代やら先々代ってのは芸術家だったのかなー」


法生は上を見上げながら歩いているせいで、足元をきんちと見ていない。
それに気が付いた双子は思わず叫んだ。


「ぼーさん!」

「あぶな……」

「おうわ!?」


法生の足元には大きめの出っ張りがあった。
彼はそれに躓いて見事に転けてしまい、双子は慌てて法生の元に駆け寄る。


「ぼーさん!大丈夫!?」

「だいじょうぶ!?」


怪我はしていないようで、法生は『なんだよ、このでっぱり』と自分が躓いた出っ張りを睨み付けていた。


「あーあ、もう。滝川さんてばはしゃいじゃって。仕事なんですからもっと緊張感を持ちましょうよ」


安原が爽やかな笑みで、なかなか痛いところを突く。
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