• テキストサイズ

ハツコイソウ【ゴーストハント/滝川法生】

第7章 血ぬられた迷宮


機材の設置をしながら、麻衣とジョンは南さんについて話していた。
そんな中であたしは眉を寄せながら、胡散臭さが抜けない事に悩む。


「どうしたんどすか、結衣さん」

「え?ああ……なんか、南さんって胡散臭そうだなあって」

「さいですか?」

「えー?そう?有名人の知り合いがいっぱいいて凄いじゃん!何処が胡散臭いの?」

「……全体的に?」

「全体的って……」


麻衣は呆れたようにしながら、ジョンは苦笑を浮かべる。
だが本当に全体的に胡散臭い感じがするのは本当なのだと思いながら、溜息を吐いてから作業を続けた。


「そういえば、博士ってどこの人?アメリカ?」

「イギリスです。……でも、てっきりもっとお若い方やと思ってたんですけど……」

「あの博士、若いと言うより中年ぐらいだよね」

「そうどすな」

「ふーん……?あっ、ジョンって英語喋れる?」


麻衣の問にジョンがキョトンとする。
そしてあたしは思わず吹き出していれば、麻衣が不思議そうな表情を浮かべていた。

ジョンが外国人なのを完全に忘れている。
あたしが可笑しそうに笑う中で、ジョンは困ったようにしながら笑った。


「ボク……英語の国の人ですけど」

「あははは!麻衣ったら、ジョンの出身地忘れてたの?」

「う、うるさいやい!い、いやー後でちょこっと通訳とかしてもらえたらなーって」

「博士ですか?滝川さんも同じこと言うてはりましたよ」

「ぼーさんが?」

「滝川さんは博士に……エエト、『傾向』?」

「『傾倒』?」

「そです。傾倒してはりますから」


チラリとぼーさんを見る。
彼は相変わらずぼぉ……としながら機材を運んでいた。
そして何故か真砂子はちゃっかりとベースにいて、綾子と何やら話し込んでいる。


「……つまり、ファンってことか」

「だから様子が変だったんだねぇ。なるほど、ファンな人がいればああなるかぁ」


そういえば湯浅高校でデイヴィス博士の話なった時、ぼーさんはかなり力説していた。
あの辺りからファンである感じがチラホラ見えていたな……と思い出しながら笑う。


「……すごい機材ですね」


暫くして、様子を見に来たのか大橋さんがベースを訪ねに来た。
そして中の機材の山を見ながら唖然としていて、そんな彼の元に安原さんが歩み寄る。
/ 633ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp